往け―そしていつも忘れるな
赴くままに―己自身の栄光を求めて
もうお前の人生に虚しさはなく
天が待つのみだ
     (KANSAS“CARRY ON WAYWARD SON”)


念願のCDが届いた。
1970年代のプログレバンド、KANSASの2枚組BOXを先日落札したのだ。
高校生の時以来、久しぶりに聴く懐かしのサウンド‥と思っていた。

衝撃。
これが予想を遥かに越えて良かったのだ。
音楽を始めたから聴き方も変わったのだとは思うが、
それより何より時代を超えて洗練されたサウンドがそこにはあった。
KANSASはデビュー時、ツインギター+ツインキーボードにバイオリンという異色の6人編成。
それが70年代といえども色褪せない音を残す大きな要因にもなっているのは確かだが、それにしても凄い。

改めて聴きなおすと、一種哲学的な歌詞もカンサスの世界観を導く大きな要素の一つであることに気付く。
詞を読むだけでも充分楽しめる‥というか考えさせられる深い詞の世界。
またプログレにありがちな‘ボーカルのおざなり’もない。
ロバート・プラントのようなカリスマ的なボーカルではないが、サウンドに溶け込む自然体な歌というか。

ロックに賢さはいらない‥というのは大きな間違いだと思う。
綿密に計算されたフレーズ、余分なものを削り洗練されたサウンド、
哲学的で奥行きのある歌詞、そしてボーカル、コーラス。
それらが導き出すのはプログレッシヴ(斬新)という名のロック。
インテリというと響きが悪いが、カンサスは正にインテリのバンドと言える。

こういうバンドがもう少し出てきてもいいようなものだが、
悲しいことに邦楽シーンでは30年を経た今なお、メジャーシーンに現れてはいない。

コメント