give & take

2005年4月4日 ポエム
もう時間はとっくに過ぎているのに、
なかなか次の電車が来ないのがイライラの原因なんだ。
「ちょっと300円貸してくれよ、一服吸いたいんだ」
「馬鹿言うな、ホームは終日禁煙だ。それに・・」
前に借りた金を返してないことを思い出してヤツは眉をひそめた。
そうか、今度はオレの番か。
それより早く電車が来てくれないかな。

「3年前のこと・・覚えてるか?」
突然何を言うかと思えば、そのことかよ。
・・思い出したくない過去だ。
そして忘れられない過去だ。
「・・ばーか」
少し多めに煙を吸い込んだ。
肺が痛い。
「オマエだって・・」
言おうと思ったが、ヤツもわかったようで、
何となく気まずい沈黙で煙を吹かしていた。

プラットホームが急に眩しい光に照らされた。
15分遅れの電車が来たようだ。
「・・今日はオレの番だからな」
ドアの開き様に言った一言だったが、
「ああ」
ヤツはオレの方を向くでもなく言葉を返してきた。

オレもヤツもこれで充分だ。
これからもこんな感じで続いていくだろう。

ポケットの中の返しそびれた小銭が音を立てた。

コメント